「オーストラリアンフットボールに必要な走力」

2012/07/03

 今回も引き続いて、フッティに必要な走る能力について紹介します。
 
 AFLは、毎年のシーズンオフに新人プレーヤーのドラフトに向けて、選抜された新人プレーヤーの研修とフィットネステストを行ないます。 2010年までは、the Draft Campという名称でオーストラリアのスポーツ研究所であるAustralian Institute of Sportで開催されておりましたが、昨年、the NAB AFL National Draft Combine(コンバイン)と名称を変更し、メルボルンのEtihad スタジアムと3つの都市で総計220名を対象に行なわれました。




⇒the NAB AFL National Draft Combine


 
 このコンバインは、今後AFLのクラブの貴重な財産となるプレーヤーたちの素質をテストすることと、ドラフト候補プレーヤーがAFLプレーヤーに必要とされるスキルとメンタルタフネスを組み合わすことができるプレーヤーである判別することを目的に行なわれます。フィットネスの高さはプレーヤーのポテンシャルを知るための一つの情報になるため、AFLクラブもこのコンバインの結果は注目しています。そして、ドラフトがかかっているので参加するプレーヤーも必死でしょう。

 

The NAB AFL Draft Combineの主な種目は、
形態測定:身長、体重、皮脂厚、腕の長さ、手の長さ、
運動機能テスト:柔軟性、3kmタイムトライアル、シャトルラン、30m反復スプリントテスト、20mスプリント、AFL アジリティラン、ランニングバーティカルジャンプ、垂直跳び
スキルテスト:クリーンハンドテスト、キックアセスメント
です。
 
運動機能テストは、様々な種目で走る能力を測定する内容になっています。今回は走力のテストの項目について説明をしていきます。

 

 まず一つ目は、3kmタイムトライアル。この種目では、3kmを走りきるタイムを測定します。いわゆる全身持久力を測定する種目です。AFLプレーヤーの一試合の平均走行距離が13.4kmと言われており、この距離をクォーター数の4で割ると約3.3kmなので、このテストでは1クォーター分の走行距離を想定した距離をどれだけの速く走りきれるかという持久力と精神的な強さの指標として参考にしているのでしょう。歴代1、2位のプレーヤーは、9分30秒台(Tim Houlihan (West Coast)、Simon Hogan (Geelong))を記録しています。1kmを3分10秒ペース、かなり速いですね。
 Tim Houlihan Simon Hogan

 続いては、シャトルランです。シャトルランは、ステージが上がる毎に速くなる合図音に合わせて、20mの距離の往復を限界になるまで走り続ける種目です。このテストも3kmタイムトライアル同様に持久力を測定する種目ですが、徐々にペースが上がっていくため、辛くなっても速さを保ったまま走り続けられる全身持久力と精神的な強さが必要になります。試合終盤でも速く走れる走力が必要となるAFLでは重要な体力的要素はあります。
 
 さらに、20mスプリントです。これはシンプルに短距離を速く走る能力を測定する種目です。また、この種目では、5mと10mのタイムも計測されるため、最初の加速局面のタイムも測定します。速く走れることは、ボールキャリー、リード、タックル、ハードボールゲットなど、あらゆる場面で必要とされます。歴代1位は、2004年のドラフトプレーヤーだったPort AdelaideのDanyle Pearceです。そのタイムは、2.79秒です。短距離での加速はやはり重要です。

Port Adelaide

 次は、30m反復スプリントです。この種目は、一回のスプリント距離が30m、スタートから20秒後に次のスプリントをスタートし、これを6回繰り返します。この種目では、単純に長い時間走れる能力でなく、短い距離を全力で何度も走る体力要素が求められます。モダン的なフットボールでは、効果的なスプリントの繰り返しでポゼッションを保っていくため、走る速度を落とさずに繰り返し走れる走力が重要になります。
 
 最後は、AFLアジリティランです。5つのコーンを回ってゴールを目指すタイムトライアルです。AFLアジリティランは、AFLのために考えられたテストで、加速と方向転換の能力を測定する種目です。不規則に転がる楕円ボール、そして、360°どの角度へも走ることが可能なAFLならではの種目とも言えるでしょう。
 
 今回は、ドラフトコンバインで行なわれる走力のフィットネステストの紹介をさせていただきました。速く、長く、そして、繰り返して走り続ける走力、さらには、直線だけでなく曲線や相手の間を抜くように走る敏捷性を併せ持つことこそがAFLのプレーヤーとして求められる運動能力と言えるのではないでしょうか。また、突出した能力を磨き、自らのプレースタイルを確立し、活躍していけるのもAFLの魅力でしょう。

コメント


名前:
Eメールアドレス:
コメント:
左の画像の英字5文字を入力して下さい。:

削除用パスワード: ※削除用パスワードを設定しない場合は自分で投稿を削除することができません

コメント一覧

現地から届く!AFL最新情報
AFL japan を盛り上げてくれるボランティアスタッフを募集しています。

事務局:
〒143-0016
東京都大田区大森北2-5-5
Tel: 03-4520-9930

email: info@jafl.org