AFLの戦い方-第7回

2013/01/17

<FWの備え方>
 
 みなさんご存知のとおり、AFLのルールにはオフサイドがありません。それゆえFWはずっと待ち伏せができます。ゴール前に張り付いてボールを待ち、飛んできたボールに反応し、ボールを取って、キックしてゴール!というプレーができるのです。
 
「待ち伏せはずるい!」
「ゴールが簡単に入る!」
「前線にキックするだけの単純なゲームになる!」
様々な意見がありそうなオフサイドなしのフットボール。
 
実際にオフサイドがないAFL。
ですが、スポーツの魅力は決して失われていません。
 
FWとDFが常にグラウンド上の同じエリアにいるので、グラウンドの様々なエリアで競り合いや駆け引きが行われています。ボールのないところでのチャージは反則となりますが、時には肩をぶつけ合って力比べをしているシーンも見られます。
 
ではFWはそんな駆け引きをしながらボールを待っているだけなのでしょうか?
 
答えは「NO」
そしてレベル高い、強いチームほど「NO!」です。

 

FWは年々仕事量が増えています。最近ではFWラインで相手のボールをターンオーバーしてしまおうと「FWプレス」なる戦術も生まれました。
 
これは相手のキックインの際に18人のプレーヤーがFWインサイド50mのエリアを順に埋めていくという戦術です。ワンキックで届く範囲をたくさんの人数でカバーし、どこにボールを蹴られても常にプレスをかけられるようにし、ターンオーバーを狙います。
 
そしてFWラインでターンオーバーができればゴールが近いので得点するチャンスも増える。そんな戦術も生まれるほど、FWエリアでの攻防も増えています。
 

 
もちろん、それだけではありません。FWエリアでのディフェンス能力がチームの失点を大きく減らします。FWエリアでディフェンスができなければ、ボールをリズムよくつながれてしまい、結局はDFに多大な負担がかかってしまいます。FWエリアのディフェンス能力が問われ、反対にDFエリアでのアタッキング能力が問われる。エリアに関係なく「攻め」と「守り」が激しく入れ替わり、駆け引きも生まれています。
 
このようにディフェンスする能力も必要になってきたFWですが、FWのプレーヤーはボールがFWのエリアにないときに何をしているか?
 
ボールがきたときに備えて待っている。
 
もちろんそれも答えのひとつ。「備える」と言っても細かくポジションを変更していかにFWラインにボールをつなぎやすくするか動き続けていることが多いです。
 
マークの上手い大柄なFWにボールを供給するために、そのFWのためのスペースを空けながら、フォローに入れる距離を保つのも備えのひとつ。
 
ボールがないときのポジション調整が、いざボールが飛んできたときのプレーを決定付けるといっても過言ではありません。
 
 

さらには中盤のフォローに入るFWも多く、中盤のプレーヤーとローテーションしながらFWラインを調整しているチームもあります。
 
FWは得点を取ることが仕事ですが、それ以外にも仕事が増え、得点を取る仕事が少しずつ中盤のプレーヤーにも流れています。FWの役割は「チーム」が得点を取るために動くように大きくシフトしているのです。
 
待ち伏せができるはずのオフサイドなしのルールですが、チームの勝利のためには待ち伏せだけでは役割を果たせません。
 
備えを怠らない待ち伏せ。
 
準備万端に備えて、ボールがきたときにゴールを奪う。
TV中継にはなかなか映りにくいシーンですが、ボールのないエリアでの駆け引きはオフサイドルールのないAFLの見所のひとつとなっています。
 
ゴールを奪うだけでないFWの献身的なプレーにも注目です。

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