AFLの戦い方 第11回 <デリバレイト・アウトオブバウンズの功罪>

2014/04/07

<デリバレイト・アウトオブバウンズの功罪>

デリバレイト・アウトオブバウンズのルールが厳しくなって久しい。
バウンダリラインの外に「わざと」ボールを出す行為を反則とするルールだ。
 
AFLはサッカーと違い、「最後にボールを触ったチームと反対側のチームのボールからプレイをリスタートする。」というルールがない。ボールがバウンダリラインの外に出ると、基本的にはアンパイアがボールを投げ入れてプレイを再開する。
 
わざとボールを出した時のみ反則となるのだが、そのルールがゴールライン、ビハインドラインでも適用されるようになった。わざとボールをゴールラインに入れて、失点を1点で抑えつつ、自身のキックインからプレイを再開するという戦術が使えなくなってしまった。



逃げるためのオウンゴールを反則とすることで、
DFラインでのより激しい攻防が見られ試合が面白くなる!と思った。
 
しかし、プレイヤーはすぐに対応し、このルールにも穴があるように思えてきた。
実はデリバレイトのルールは相手からプレッシャーやタックルがあった際は適用されない。
 
フォワードのプレイヤーはディフェンダーにターンオーバーされた際、必要以上に追いかけ相手ディフェンダーをゴールに追い込むと、ゴールラインに逃げてしまい、1点止まりとなる。この場合はプレッシャーがあったため、「わざと」出したとは認められない。
 
プレッシャーを与えずにディフェンダーが「わざと」ゴールラインに逃げた際に反則となってフリーキックがもらえるので、フォワードのプレイヤーはゴールライン際でプレッシャーを与えるのをためらってしまうようになった。
かと言ってプレッシャーを与えても、1点に逃げられてしまう。

 

ルールの解釈が変わると、ガラッと様相が変わる。ゴールライン付近でのセットアップも変わった。ボールやパックへのプレッシャーよりも、そこからキックされるボールを効率よく取ろうと、フォワードは網を張って待っているシーンが目立つ。
 
ゴール前でのプレッシャーのかけ方は独特なものとなり、それはそれで面白いのだが、ルールに精通していない方が見ると、もっと激しく行け!と感じてしまう。



分かりやすいルールが売りのAFLも、スポーツとしての駆け引きや面白味を優先するあまり、ルールが少し複雑になりつつある。
 
デリバレイトのルールはその典型である。
 


ゴール前の攻防をよりエキサイティングなものにするためには更なるルール変更が必要と感じているのは私だけではないだろう。

ゴールライン際での本当にエキサイティングな攻防を見るためには、「ディフェンダーがゴールラインやビハインドラインにボールを出した場合はすべてデリバレイト・アウトオブバウンズとする」といったような思い切りのよい明確なルール変更が必要だ。
 

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