AFLの戦い方 第16回 <デパートと専門店>

2015/03/03

10数年前までのAFLでは、ラックマンはラックへ、フォワードはマークとセットショット、バックはスポイルとクリア。と、仕事が分担されていた。
 
しかし、近年のスピードのあるフットボールはそれを許さない。フォワードであってもディフェンスをしなくてはいけないし、バックであってもアタックする能力が必要とされる。ラックワークでタップをするだけのラックマンはいらないと言われ、ハンドパスやキックのスキルも問われるようになった。
 
1人1人のプレイの幅を広げることが要求されて、何でもできるプレイヤーが求められた。左右の手や足でボールが扱え、スピードや持久力があり、タックルに入れて相手のタックルにも耐えられる体の強さを持つようなプレイヤーだ。
 
いわば、総合デパートのようなプレイヤー。

 

しかし時代は変わる。
もう一度、プレイヤーが「専門店化」する波が来ている。
 
ターゲットが競ったボールを拾うクラムプレーがうまいプレイヤー、スナップショットがうまいプレイヤーなど、専門的なプレイがうまいプレイヤーが重宝されつつある。
 
全体のスキルレベルが上がってくる中で、「全て上手」では戦えなくなっている。ほとんどのプレイヤーが「全て上手」という状態になっているからだ。

今後10年ほどは様々な「専門店化」したプレイヤーが出てきて、AFLで必要とされるスキルのレパートリーも増えるだろう。ターンの種類や、ハンドパス、キックの種類も増えるだろう。もしかするとバックスピンをかけてパスをするのが基本だったスタイルにも変化が起こるかもしれない。

   

この流れに一役買っているのが、外国人プレイヤーだ。各クラブは積極的にオーストラリア国外のプレイヤーをAFLにデビューさせている。
 
「クラブ経営のために人気の出そうなプレイヤーを入れているだけ。」と少々冷めた見方をする人もいるが、果たしてそうなのか。
 
クラブは新しい風を求めている。
今までのフットボールの歴史を知っている人からは想像つかなかったスキルを求めているのだ。
 
現に、外国人プレイヤーは基本戦術にフィットするのに時間がかかるものの、チームメイトも発想しなかったプレイをみせることもある。戦術の型にはまらないプレイは初めこそ困りものかもしれないが、新しい発想でプレイできるプレイヤーを獲得できる意義は大きい。
 
オーストラリアンフットボール界にも常識という見えない壁があり、多くのプレイヤーはその壁の中でプレイしている。外国からきたプレイヤーが壁の外からやってきて、壁を壊してAFL界に入り、そこで新しいAFLの流れを作っていくだろう。
 
 

「キックを多用せず、ほとんどハンドパスでボールをつなぐプレイヤー」、「長い距離を走ってボールを運ぶプレイヤー」などの新しいプレイスタイルをもった選手はそろそろ出てくる予感がする。
 
そして、AFLファンは待っている。
あの頃の、あの瞬間。
FWに蹴り上げられたボールを固唾を呑んで見守る瞬間。
 
マークコンテスト一本で勝負するプレイヤーが出てきてくれるのを待っている。
 

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