ノリカ GFスペシャル: ドギーズ、勝っちゃったよ!

2016/10/03

They did it. They bloody did it.
 
昨日、私はWhitten Ovalで数千人のファンといっしょに見ていた。でもゲームの内容をほとんど覚えていない。
 
多分、ものすごく集中していたからだと思う。


 
62年ぶりのプレミアシップだよ。この1週間、街中が赤と白と青だった。どの家も、どの店も、ポスターを、横断幕を、何でもいいから赤と白と青を飾り立てていた。オーバルに向かう道すがら、通りかかる人たち全員と「Go Doggies!」といい交わした。街中の人がドギーズを応援していた。だから、昨日オーバルでみんなものすごくバカ騒ぎになるし、私もすごくドキドキするんじゃないかと思っていた。
 
でもオーバル全体も私自身も不思議と何となく、落ち着いていた。みんな静かに「ドギーズはきっと勝つ」と信じていて、その信念で不思議と落ち着いた空気が流れていた、ように感じた。
 


They did it.
 
昨日もミスがたくさんあった。リードしたりされたりと、シーソーゲームだった。
 
でもミスしても、やっぱりかっこわるくなかった。がっかりしないし諦めない。入れられてもすぐに入れ返す。
 
それはどうしてだろう? 昨日、その理由が少しだけわかった。
 
夜読んだニュース記事の中でプレーヤーの誰かがこう話していた。
 
「ベーボ(コーチ)は僕のことを、とても信用してくれている。プレーヤー一人ひとりと、とても個人的につながっている」


 
今年のドギーズは若い。引きずる過去がないから、「おまえにはできる」と言われ続けた時、それを素直に吸収する。自信が生まれる。失敗を怖がらずに自由なプレーができる。自分が失敗しても、信頼できる仲間がいる、誰かがやってくれると信じられる。
 
この言葉を読んだ時、少し前に仕事である人にインタビューした時のことを思い出した。メルボルンでとてもたくさんのカフェを経営して成功している人で、とてもたくさんのカフェをたくさんの人といっしょに共同経営している。成功しているのにあまりビジネスマンらしくなくて、元はアーティストという人だ。
 
この人に、私は「誰かといっしょにチームとして、仕事を成功させることは難しくないか」という質問をしてみた。私はフリーなので1人で仕事をすることが多いのだが、最近人とチームを組んでのプロジェクトがあって、なんだかうまく行かないことが多くて、苦労していた。それでこんなことを聞いたんだと思う。
 
その人はこう答えた。
 
「重要なのはTrust。信じることだよ。人の面倒を見、ケアすることに関して正直でオープンになること。自分がやっていることをシェアすること。人と何かをいっしょにするのは楽しいよ」
 
信じること。シェアすること。以来この言葉は、頭の中にずっと残っていた。
 
言うのは、簡単だ。でも実際にやるのは難しい。
 
でもこの人にはできる。ベーボにもそれができた。そして一人ひとりのプレーヤーもおそらく、チームと仲間を信じていた。
 
シーズン序盤に負傷してずっとベンチにいたキャプテン、ドギーズのベテラン選手ボブ・マーフィは、昨日、表彰台のベーボに呼ばれ「彼こそがかけるべき」と首にメダルを譲り受けた。マーフィは、ブルドッグスのチーム全体、選手もコーチもスタッフも全員が「家族、自分の家族」と言っていた。


 
チームっていいなあ。
 
サイレンのあと飛び跳ねて走り回って抱き合って、嬉しさのあまりテレビに向かって支離滅裂なコメントをしているドギーズたちを、私も嬉しくてニコニコして眺めながら、チームっていいなあ、私もチームが欲しいなあ、とすごく思った。







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